名古屋地方裁判所 平成9年(わ)145号・平9年(わ)508号
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金二五〇〇万円に処する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
第一 被告人は、三重県桑名市寿町三丁目一〇番地に本店を置き、不動産賃貸業等を目的とする資本金五〇〇〇万円の桑寿商業開発株式会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、松本忠昭、長谷川哲也こと金炳大、松木一也及び松本成功に対し、同会社の法人税の確定申告手続を依頼するに際し、被告人は、松本忠昭、長谷川哲也こと金柄大、松木一也及び松本成功と共謀の上、同会社の前記業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の株式評価損を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、平成五年七月一日から同六年六月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が二億二七〇五万三八二三円であったのにかかわらず、法人税の確定申告期限の経過後である同年九月一三日、同市大字江場七番地の六所轄桑名税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が七二九三万一一一七円で、課税土地譲渡利益金額が一八七万円であり、これに対する法人税額が一四万六一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八四五三万〇九〇〇円と右申告税額との差額八四三八万四八〇〇円を免れた。
第二 被告人は、同市大字北別所四〇七番地に居住し、不動産賃貸業等を営んでいたものであるが、松本忠昭及び佐藤昭一に対し、被告人の所得税の申告手続を依頼するに際し、松本忠昭及び佐藤昭一と共謀の上、所得税を免れようと企て、架空の経費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、被告人の平成五年分の実際の総所得金額が一四二二万八二〇〇円で、分離課税による長期所有土地にかかる譲渡所得の金額が一億一一六九万三九八〇円であったのにかかわらず、平成六年三月一五日、所轄の前記桑名税務署において、同税務署長に対し、その総所得金額が一四二二万八二〇〇円、分離課税による長期所有土地にかかる譲渡所得の金額が五一六九万三九八〇円で、これに対する所得税額が一六〇四万八六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同人の正規の所得税三四〇四万八六〇〇円と申告税額との差額一八〇〇万円を免れた。
(証拠の標目)
括弧内の数字は、証拠等関係カードの検察官証拠請求番号を示す。
全事実について
一 被告人の公判供述
第一の事実について
一 被告人の検察官調書(乙二)
一 郡善治(謄本・甲一〇)、尾藤光則(謄本・甲一一)、寺本喜宥(謄本・甲一二)、松岡敬次郎(同意部分につき抄本・甲一三)、増田清司(謄本・甲一四)、松本忠昭(各謄本・甲一五、一六)、長谷川哲也こと金炳大(各謄本・甲一七、一八)、松木一也(各謄本・甲一九、二〇)及び松本成功(各謄本・甲二一ないし二三)の検察官調書
一 大蔵事務官作成の証明書(謄本・甲一)、査察官調査書(各謄本・甲二ないし六)、査察官報告書(謄本・甲七)
一 登記簿謄本(甲八)
第二の事実について
一 被告人の検察官調書(乙四)
一 分離前の相被告人佐藤昭一(乙六、七)、平岩宏昭(謄本・甲三一)及び松本忠昭(謄本・甲三二)の検察官調書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(各謄本・甲二六ないし二八)
一 桑名税務署長作成の証明書(謄本・甲二四)
(法令の適用)
(平成七年法律第九一号による改正前の刑法を「改正前刑法」と表記する。)
罰条 第一の行為につき、改正前刑法六〇条、法人税法一五九条一項、二項
第二の行為につき、改正前刑法六〇条、所得税法二三八条一項
刑種の選択 それぞれ情状により懲役刑及び罰金刑を選択
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い第一の罪の刑に法定の加重)、四八条二項
労役場留置 刑法一八条
刑の執行猶予 刑法二五条一項
(求刑 懲役一年六月及び罰金三〇〇〇万円)
(裁判官 長倉哲夫)